簡単に廃棄してしまうなら、その人は飲食業に向いていない―。早稲田大学周辺の飲食店はフードロス問題に真剣に向き合い、対策を実施している。仕込む量の調整や持ち帰りへの柔軟な対応、食べ残しへのペナルティ、店内スタッフや他店との連携など、対策方法はさまざまだ。持続可能な社会を目指す流れの中、早稲田の街でも食べ物を無駄にしない意識が確実に高まっている。
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「廃棄ゼロ」は店長の経験とスタッフの協力から ―早大戸山キャンパス「ミルクホール」
早稲田大学戸山キャンパスにあるパン屋、ミルクホール。販売されているパンは店内で焼いており、焼きたてのパンを食べることができる。スタッフとして働く早稲田大学文化構想学部4年生の髙石あかりさんによると、パンの廃棄は「全くない日」の方が多いという。2014年から働いている店長のソンミさんが長年の経験をもとに、毎朝、天気や気温、曜日などをもとに、パンの売れ行きを推測し、割り出した個数を焼いているため、売れ残りは少なく、それも全てスタッフが自宅に持ち帰るのだという。
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ソンミさんは朝5時半頃から夕方までパンを焼き続け、どのパンを何個陳列するかを1時間ごとに判断している。さらに細かい点では、パンの焼き加減も工夫の1つ。焼き色ひとつで売れ行きが変わることがあるため、細かな調整が欠かせない。また、毎朝焼き上げたパンの数と夕方に売れ残ったパンの数をスタッフのグループLINEで共有している。
さらに、早稲田近辺に住んでいるスタッフが多いため、シフトに入っていなくても、閉店後にミルクホールに立ち寄り、余ったパンがあればもらって持ち帰っている。焼く前のパン生地であれば冷凍保存も可能だ。例えば、衣をつけて下準備したカレーパンは冷凍保存し、後日必要な分だけ揚げる工夫も行われている。また、カウンター近くにある焼き菓子は日持ちするため、3日ほど販売できる。
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簡単に廃棄しない。委託販売通じ他店とも協力―「早稲田モンスターズキッチン」
「簡単に廃棄してしまうなら、その人は飲食業に向いていない」。大隈通りにある「早稲田モンスターズキッチン」の店長、花田富樹さんは強い言葉でそう語る。
同店は開店から約3年が経つ。店内は沖縄風でK-POPが流れていることが多い。花田さんは大学時代、沖縄の居酒屋でアルバイトをしていた。接客が好きで、「接客モンスター」と呼ばれたこともある。「接客モンスター」というニックネームは「早稲田モンスターズキッチン」という店名の由来の1つになった。
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同店は新宿区食品ロス削減協力店になっている。フードロス問題に取り組む姿勢を示す店が登録でき、小盛メニューやばら売りの導入、閉店時間間際の割引販売の実施などが要件になっている。早稲田モンスターズキッチンは、食べきれなかった料理を持ち帰るための容器を無料で提供する取り組みをしている。容器に限りがあるため、大々的に宣伝はしていない。食べきれなさそうなお客さんにそっと声を掛けている。この取り組みは、アメリカで「ドギーバッグ」と呼ばれ、多くの店で見られる
また、店内で提供しきれなかった食材をお弁当の一部として、早稲田大学7号館の「マチェリア」や大隈通りの「こだわり商店」で委託販売している。「マチェリア」は早稲田大学周辺商店連合会が出店しておりモンスターズキッチンをはじめ同連合会加盟店の弁当を購入することができる。委託販売であるため、そこで売れ残ったお弁当はモンスターズキッチンに帰ってくる。その場合は、スタッフ同士で持ち帰る。
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ラーメンに合うライス 残したら罰金―「武道家早稲田本店」
早稲田通りにある武道家早稲田本店はライスに合うラーメンを売りにしている。ライスはセルフサービスで、お客さんは食べたい量を自由によそうことができる。その一方で、店長の滝坂滋晃さんによると食べきれない量をよそって結局残してしまうお客さんもいるという。そうした現状もあり、1年半前からライスを残した人に500円の罰金を設けた。滝坂さんによると、罰金制度開始以降はライスを残す人は大幅に減ったという。