2025年10月19日日曜日

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日本で生きる性的マイノリティ

 日本は先進国の中でも群を抜いて同性婚に関する法整備が遅れている。NPO法人「EMA日本」の調査によると、G7で国として登録パートナーシップすら認められていないのは日本だけだ。2023年2月時点で、同性婚や登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保障する制度を持つ国や地域は世界の約22%の国・地域に及んでいる。高校時代をオーストラリアで過ごした髙田楓加さん(23)は、様々な場面で日本と海外の間に存在する「差」を、身をもって体験してきた。日本は制度面で圧倒的に後れを取っているが、同性婚やLGBTQに対する一般大衆の感覚では他国に後れをとっているわけではないという。

聞き取り受ける子 犬が付き添う

ペットでなく、人間とともに働いてくれる「職業犬」が注目されている。職業犬の1ジャンル、付添犬は、虐待やいじめの被害を受けた子供が捜査機関や弁護士、医師の聞き取りを受ける際に子どもに同伴し、負担を和らげるのが仕事だ。認定NPO法人「子ども支援センター つなっぐ」(横浜市)はこうした付添犬の活動を広げようと取り組んでいる。
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Keep exploring

捨て猫に向き合う日々 “映える保護”への違和感

しらさぎ動物病院(東京都中野区)の副院長で、里親募集を目的とする猫カフェ「しらさぎカフェ」のオーナーでもある獣医の常安(つねやす)有希さんは小学校の頃から路上に捨てられた猫を家に連れて帰り、世話をしてきた。「猫との関係は対等。自分のために猫がいるわけではない」と地道な自身の活動を振り返る一方で、近年SNSで保護動物の里親募集を謳いながら、実際には応募した里親に高額な支払いをさせるなど、営利目的が強く疑われる繁殖業者や保護団体の活動が見受けられることに違和感を示す。

コメ高騰 ワセメシに影響

社会問題となっているコメ高騰の影響は「ワセメシ」にも大きく及んでいる。「ワセメシ」とは、早稲田大学周辺の飲食店を指し、安さとボリュームで日々早大生のお腹と心を満たしている。だがここ1年、コメが高騰し、中には仕入れ値が高騰前の3倍となっている店もある。ワセメシ全体で苦しい状況が続く中で、各店舗は「学生のため」と、値上げを最低限に抑えるための工夫を行っていた。ワセメシの店主たちの、利益が減る中でも安さとボリュームを残すための様々な工夫や、そこにかける想いを追った。

訪問介護 見合わぬ給与に離職続く

高齢者の在宅介護の要である訪問介護事業の現場で、不安の声が上がっている。ニーズは高まる一方で、昨年度、厚労省は利益率が高いという理由から訪問介護の基本報酬を2~3%引き下げた。しかし報酬引き下げの裏で職員の人手不足は深刻化。人員確保のためには給料を上げるしかないと、介護保険制度の見直しを求める声が現場からは上がる一方、今年上半期の「訪問介護事業者」の倒産件数は45件と、同時期では過去最多を更新した。安定した介護サービス提供が困難になる可能性がある。

フードロスなくせ 奮闘する早稲田の飲食店

早稲田大学周辺の飲食店はフードロス問題に真剣に向き合い、対策を実施している。仕込む量の調整や持ち帰りへの柔軟な対応、食べ残しへのペナルティ、店内スタッフや他店との連携など、対策方法はさまざまだ。「簡単に廃棄してしまうなら、その人は飲食業に向いていない」の意見も。持続可能な社会を目指す流れの中、早稲田の街でも食べ物を無駄にしない意識が確実に高まっている。

老人・若者・難民 多様化するホームレス

経済は回復基調にあるこの日本で、人々の中には日々の安寧の場所である「家」を持たない人が存在する。世間的にはそのような人々はホームレスという名称で呼ばれている。中年以降の男性のイメージが強いホームレスだが実際には若者や外国籍の人など様々な人が存在するのである。この多様化するホームレスに併せて支援の方法もまた変わってきているという。

東京の住民を悩ます海鳥 ウミネコ

東京都内でカモメの仲間であるウミネコによる騒音、糞害が問題となっている。被害が大きいのは特に繁殖期の4月から8月にかけてで、大群で飛来し、都心の建物の屋上に営巣する。その鳴き声は「ニャーニャー」と猫に似ていることからこの名が付いた。厄介なのは、1つの建物がウミネコ対策を行っても、隣の建物に移って営巣されてしまうため、地域全体としては騒音などの問題が解決されない点だ。住民や鳥害対策業者は「地域全体で対策をする必要がある」と指摘する。

ハンセン病療養所「人権の森」に

全国に13施設ある国立ハンセン病療養所の一つで、都内では唯一となる多磨全生園(東京都東村山市)は、園が行なってきた緑化活動を通して療養所を人権の学び場「人権の森」とする将来構想の策定を進めている。2024年5月1日現在、多磨全生園に暮らすのは94人。平均年齢は88歳を超え、ハンセン病問題を当事者が解決するのに残された時間は限られてきている。「らい予防法」により国が長年強制隔離をしてきた歴史を後世にどう伝えるのか、差別や偏見の歴史を繰り返さないために何ができるのかが喫緊の課題となっている。

新宿の路上喫煙防止 近年は足踏み

早稲田大学がある新宿区では2005年に路上喫煙を禁止する内容の条例が施行され、通行者のうち路上喫煙者の割合を示す「路上喫煙率」が同区内では50分の1にまで激減する成功ぶりを見せた。ところが近年、区内の観測地点の集計では駅周辺の路上喫煙率は横ばいの状態が続いている。横ばいの原因について、大都会だけに住民の入れ替わりが激しく、地方や外国から来たばかりで路上喫煙禁止ルールを知らない新区民が常に多数いることも一因ではないかとの議論もあり、区は広報や啓発に力を入れる構えだ。

日本語教室 中心はボランティア

 人口の13%を外国人が占める東京・新宿区の区営施設、しんじゅく多文化共生プラザは新宿区内でも国際交流が盛んに行われる場所で、同区や近辺の外国人の日本語学習をサポートしている。中心となっているのはボランティアの人々。教室の関係者や外国人の日本語教育に関わる人々の話からは、こうした教室がただ日本語を習うためだけの場所ではなく、交流の場になっていることが浮かび上がってきた。

手賀沼を悩ます外来植物・魚

千葉県で印旛沼に次ぎ2番目に大きな湖である手賀沼は、かつての水質ワースト1を脱却して24年経つ今もゴミや外来種被害に悩まされている。かつて「日本一汚い沼」と呼ばれていたイメージを改善するため、地元自治体は清掃活動やイベント開催の取り組みを進め、地元住民も「昔に比べ断然過ごしやすくなった」と話す。

鉄道人身事故どう防ぐ

世界有数の鉄道大国である日本で、朝の報道やSNSで「〇〇線遅延」を知らされることも多い。人身事故を防ぐため、西武鉄道はAIの技術や3Dカメラなどのハイテク技術を駆使し安全性向上に取り組む。一方鉄道事故の中でも自殺について、精神科医は決行する人の9割に精神疾患があると指摘し、未然に防ぐ声かけや診療などアナログな手段で命を守る大切さを指摘。さらに、自殺をあたかも「けじめ」のようにみなす東アジア的な捉え方を変える「教育」に眼差しを向ける。

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 日本は先進国の中でも群を抜いて同性婚に関する法整備が遅れている。NPO法人「EMA日本」の調査によると、G7で国として登録パートナーシップすら認められていないのは日本だけだ。2023年2月時点で、同性婚や登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保障する制度を持つ国や地域は世界の約22%の国・地域に及んでいる。高校時代をオーストラリアで過ごした髙田楓加さん(23)は、様々な場面で日本と海外の間に存在する「差」を、身をもって体験してきた。日本は制度面で圧倒的に後れを取っているが、同性婚やLGBTQに対する一般大衆の感覚では他国に後れをとっているわけではないという。

聞き取り受ける子 犬が付き添う

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ワセ飯のコロナ禍 学生と商店会の奮闘

早大生が愛する地元店の食事、通称「ワセ飯」もコロナ禍に苦しんだ。立ち向かっていくため、店の人たちと学生が取り組んだのがデリバリーサービス「わせくまデリ」。配達を担った学生たちに、街の人たちがいたわりで応え、早稲田の街の暖かみを再確認することができた。

捨て猫に向き合う日々 “映える保護”への違和感

しらさぎ動物病院(東京都中野区)の副院長で、里親募集を目的とする猫カフェ「しらさぎカフェ」のオーナーでもある獣医の常安(つねやす)有希さんは小学校の頃から路上に捨てられた猫を家に連れて帰り、世話をしてきた。「猫との関係は対等。自分のために猫がいるわけではない」と地道な自身の活動を振り返る一方で、近年SNSで保護動物の里親募集を謳いながら、実際には応募した里親に高額な支払いをさせるなど、営利目的が強く疑われる繁殖業者や保護団体の活動が見受けられることに違和感を示す。